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【調声】ボーカロイドを自在に歌わせよう!! パラメータ全種類解説

【調声】ボーカロイドを自在に歌わせよう!! パラメータ全種類解説

初音ミクのボーカロイドとしての魅力は、特に細かなパラメータ調整をしなくても、ただノート(音符)を入力しただけでもそれなりに可愛く、格好よく歌ってくれることだと個人的には思っている。

体験版などで他のクリプトン社製や他社製ボーカロイドを何種類も試したことがあるが、断トツでベタ打ちでも良い感じに歌ってくれるのが初音ミクだった。だから、そう言い切ることができる。

世界には様々なマイナーな楽器があるが、優れたサウンドを奏でる楽器でも使いにくければ普及することはない。ピアノやギターという楽器が世界中で広く使われているのは、表現豊かなサウンドもさることながら、使いやすさも一因にあると思う。

前置きが長くなったが、そんな簡単に使える初音ミクさんだが、さらに歌い方に表情を付けしたり、いじくり回すために様々なパラメータが用意されている。俗にこの作業のことを調声や調教という。

今回は当サイトでお馴染みのオリジナル曲『Memories of Aqua』のフレーズを用いて、ボーカロイドに用意されている調声のパラメータを解説する。使うボーカロイドは初音ミクV4Xで、エディターは初音ミクに同梱されているPiapro Studioとなる。他のボカロやエディターでは若干違う部分もあるが、基本的な考え方は共通であると思う。

画面解説 パラメータのいじり方

こちらはPiapro Studioのウィンドウ。

まず、サンプルでは初音ミクV4XのOriginalのライブラリを用いて、ほぼデフォルトのパラメータで歌わせている。味付けのない、最もスタンダードな“ミクの声”がこの状態である。

パラメータをいじるにはトラックの縦幅を広げる。いじりたいパラメータをクリックすれば、ノートの下に対応したパラメータが表示されて編集可能になる。

「A」という小さいボタンをクリックすることで、オートメーションを有効、無効を切り替えることができる。オートメーションを使わない場合はトラック一律で設定することができる。

ちなみに、この手の音楽系ソフトで言う「オートメーション」とは、グラフのようなものを作って時間軸に沿ってエフェクトのかかり具合を変化させる機能のことだ。

では、それぞれのパラメータの役割を確認していこう。

Volume

ボリュームは音質に影響を与えずに音量を大小させるパラメータ。音量が変わるパラメータは他にいくつもあるが、音質に影響を与えないことは、このパラメータだけの特徴と言える。

Wavに書き出しせずにプラグイン状態で書き出す場合は、メインボーカルとコーラスなど、それぞれのトラックでの音量バランスを取る必要がある。オートメーションの書き込みによって、語尾を減衰させたり、発音前のノイズっぽさや、ノートごとの違和感などを調整する場合にも使う。

Pan

左右の音量バランスの調整に使う。

こちらのパラメータもプラグインとして使う場合に設定するパラメータ。コーラスなどでステレオ表現したい場合に調整する。

VEL (Velocity)

子音の長さを調整するパラメータ。一般的なMIDI音源、ソフト音源でのベロシティは音の強弱を設定するが、ボーカロイドでは子音の長さ調整に使う。

値を上げるとフレーズ先頭部分の子音が短くなり、アタック感が強調される。

値を下げるとフレーズ先頭部分の子音(特に “s”や“f”)が伸ばされ、アタック感が無くなる。

但し、フレーズやノートによっては、最大や最小にしても聴いた感じの変化がほとんど起こらない場合もある。やってみないとわからないパラメーター。

DYN (Dynamics)

ダイナミクスは音の強弱、ニュアンスを表現する。デフォルトは64で、0だと無音、127が最大。

ボリュームのパラメータは出力される音量を大小するだけのに対して、ダイナミクスは数値を上げると叫んでいる風に声質が変化する。

下記のようなダイナミクスを描くと、64~127にかけて叫んでいる風に歌う。大きい値の方が効果がわかりやすい。ライブラリにもよるかもしれないが、0~64にかけては音量の変化程度で、ささやくような声になったりはしない。

ささやき声にしたい場合はSoft、Sweetなど別のライブラリを使ったり、EVECの機能を使った方がよいだろう。

BRE (Breathiness)

プレシネスは声の「息っぽさ」を調整するパラメータ。ハスキーボイスにしたい場合などに使う。

デフォルトは0で、普通の歌い方の場合は0のままか、ちょっとだけかける感じで0~20くらいの範囲で使うことが多い。

サンプルだと前半の「記憶の中の蒼い海♪」は0~20の変化、後半は50~127まで変化させているが、数値を上げるとハスキーというよりノイズっぽさが増してくる。ピンポイントで使うなどすれば有効な場合もあるが、フレーズ全体をハスキーにしたい場合はライブラリ自体を変えるなどした方が良いだろう。

BRI (Brightness)

ブライトネスは声の明るさを調整するパラメータ。高い周波数成分が調整される。

デフォルトは64で暗い声にする場合は値を下げ、明るくした場合は値を上げる。

フレーズによって歌い方を変える場合など、使い所の多いパラメータだが、音量の変化も大きいので、他のパラメータと組み合わせる必要があるだろう。

デフォルトより下げる場合は子音付近の調整も必要になる。

CLE (Clearness)

クリアネスは声質のクリアさを調整するパラメータ。

Piapro Studioのマニュアルによると“ブライトネスと似ているが、声質の変わり方が少し異なる”とのこと。一見わかりやすそうだが、これもやってみないとわからないパラメータ。

デフォルトは0で、0~30くらいにかけては緩やかな変化。30~最大の127にかけては高域が強調された極端な音質になる。ライブラリによるかもしれないが、ブライトネスと違って子音付近のひっかかりがないので、小さめの値では常用しやすいパラメータと言えるだろう。

OPE (Opening)

口の開け具合を調整するパラメータ。値が小さいと篭った感じになる。

デフォルトは最大の127で、0~127の範囲でノート単位にて調整する。0でも小さめの口の開き具合で歌うので、無音になったりはしない。

このパラメータの良い所は、他のパラメータと違って、最小~最大のどの値でもノイズっぽさがなく、実際に口の開け方を変えたように聞こえるところ。極端に音量や音質が変わったりしないので、他のパラメータで補正する必要を感じない。

人間っぽく歌わせる場合においては、歌唱表現で有効に使えるパラメータだろう。

GEN (Gender Factor)

ジェンダーフォクターは、フォルマント構造を調整するパラメータ。つまり、声質というか、声のキャラクターそのものを変える。

値を上げると男っぽい声に、下げると甲高いアニメ声になる。ちょっと聴いて違いがすぐわかるパラメータ。曲の雰囲気に大きく影響する。

デフォルトは64で、一般的には極端な値ではなく、64から少し下げるとか、その前後で調整することが多いだろう。ミクの有名曲では大抵の場合は、アニメ声の方向にいじっていることが多いと思われる。

POR (Portamento Timing)

ポルタメントは音楽用語由来で、ボーカロイドでのポルタメントタイミングは次のノートへ切り替わるタイミングを調整するパラメータ。デフォルトは中間の64になっている。

ポルタメントタイミングが0の場合↑は、音程変化のタイミングが早くなる。

ポルタメントタイミングが127の場合↑は、音程変化のタイミングが遅くなる。

実際の制作においてはオートメーションを使ったりと、微妙な調整に利用することが多いだろう。あまり調整にこだわりすぎると沼にはまって抜け出せなくなるかもしれない怖い(?)パラメータ。

PIT (Pitch)、PBS(Pitch bend Sensitivity)

この2つのパラメータは連動している。

ピッチは音程を調整するパラメータ。-8192~8191の間で調整し、デフォルトの0だと何も変化しない。

変化量はピッチベンド・センシティビティで設定し、最大値24の場合は24半音の間で変化する。

サンプルは効果検証のための極端な例だが、実際には語尾だけ部分的に音程を変化させたり、ノートを分割せずに歌い始め部分の音程を下げて“しゃくり”を表現したりする場合にも利用できる。

歌のボーカルではなくて、滑らかにお喋りさせたい場合も、これらのパラメータを微調整することになるだろう。

Pitxh Snap Mode

VOCALOID4ライブラリがインストールされた状態で起動できる「V4モード」で使用できるパラメータ。

自動的に作り出される自然なピッチカーブを無効にして、ロボットっぽい声にする場合などに使う。

値は0(無効、デフォルト)と1(有効)の2つのみ。

Growl

グロウルはVOCALOID4ライブラリかつ、V4モードの時に使用できるパラメータ。

声を激しく震わせて、うなり声やガナリ声を表現するのに使う。デスメタルなど曲のジャンルによって、ここぞという時に使うと効果的だろう。サビなど迫力を出したい部分にちょっとだけ使うというやり方もある。

Vibrato

Vibratoのボタンをクリックすると、Vibrato Depth(ビブラートの深さ)、Vibrato Rate(ビブラートの速さ)を調整することができる。

他のパラメータと入力の仕方が少し違っていて、ビブラート自体はノートを右クリックして先に設定しておき、その後にこのパラメータで調整する。

Cross Synthesis

クロスシンセシスはV4モードで使用できるパラメータ。2つのライブラリをミックスすることができる。組み合わせ可能なパターンは、ライブラリごとに異なる。

初音ミクの場合、日本語同士であれば初音ミクV3と初音ミクV4Xのそれぞれのライブラリを掛け合わせることが可能。

2NDシンガーの設定は歌手選択ウィンドウで右上のほうにある「2ND」という小さなボタンをクリックし、それぞれの歌手の右側を右クリックすることで設定できる。

サンプルでは初音ミクV4XのOriginalからSoftに徐々に変化するように設定している。オートメーションも使えるので、組み合わせ方によっては少しずつソフトな声質になっていくなど、簡単に表現の幅を広がられるパラメータと言えるだろう。

まとめ

今回は初音ミクV4Xと付属エディタであるPiapro Studioを使って、歌い方を制御するパラメータをそれぞれ試してみた。

何となく名称から効果は想像できても、実際に試してみると想像とは結構違った効果も多かった。それぞれのパラメータが持つ表現を理解しておくことで、実制作でも役に立つのではないだろうか。初音ミクなど、ボーカロイドで楽曲を作る際の参考になれば幸いである。

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