
PCスペックが要求されがちなDTM作業。
だが、2020年現在においてはノートPCを用いて屋外でノマド的に音楽制作、特にボーカロイドを用いたDTM作業をすることは、スペック的に現実的なものになってきている。
今回はコストパフォーマンスを重視をしながらも、DTMに向いたスペックを持つノートPC選びについて考察する。
- 1. 【PR】 2020年5月最新モデル 1Kg以下で30時間駆動のお薦めノートPC
- 2. どうしてDTMにノートPCが必要なのか?
- 3. 毎日でないしろ、時々はお外でDTMがやりたい
- 4. DTMに必要なスペック、前提条件
- 5. CPUは省電力タイプのi7もしくはi5がオススメ
- 6. メインメモリ(RAM)は8GB以上は必要
- 7. OSはWindows10のほぼ一択
- 8. ストレージは内蔵SSDで240GB以上、ポータブルSSDもオススメ
- 9. 持ち運びが苦にならない目安は1.5Kg以下
- 10. バッテリーはフル稼働で10時間が理想だが…
- 11. モニターは情報量の多いフルHD以上が理想
- 12. 音質は最終チェック用ではないので、そこまで気にしない
- 13. 一体型タッチパッドは使い勝手が微妙?
- 14. 当サイトおすすめ! DTM向けノートPC3選!
- 15. 番外編 iPad Proという道も
【PR】 2020年5月最新モデル 1Kg以下で30時間駆動のお薦めノートPC
冒頭からいきなりだが、2020年5月にASUSからモデルによっては重さ1Kg以下で30時間駆動で10万円台前半という、当ページがノートPCに求める理想を体現したような機種が発売された。
軽いだけでなく、最新の第10世代core i7や512GBのSSD搭載で、薄型ノートPCとしてはかなりのハイスペックな機種。画面も14インチと大き目で、バッテリーが長持ちだし、負荷が大きいDTM作業もやりやすいスペックなのだ。
「10万円弱くらいで軽くて高性能、バッテリー長持ちな最新ノートPCが欲しい」という方には、まずはこちらが最もお薦めできるモデルなので紹介しておきたい。
どうしてDTMにノートPCが必要なのか?

音楽制作と言っても色々あるが、バンドを組んだりして生楽器で演奏している人達と違い、DTM(打ち込みとも言う)は部屋に篭り切っての孤独な作業になりがち。
ちょっとした修正のつもりが延々と徹夜作業になった挙句、あとあと聞き返してみると作業前の方がやっぱ良かった・・・というパターン。DTMerならば1度や2度は誰でも経験があるだろう。そのくらい、DTMというのはどんよりしたネガティブスパイラルに陥りがちなのである。
あまりにもどんよりしてくると、生楽器とかで複数人で音楽やっていてる人達が何だか羨ましいなぁ~、なんて本音をぽろっと漏らしてしまいたくなることも。これらはDTMerをやっていたら避けて通れない道だ。
一言で言うと、精神衛生のために大体のDTMerにはノートPCが必要なのだ。
毎日でないしろ、時々はお外でDTMがやりたい
Post from RICOH THETA. #theta360 – Spherical Image – RICOH THETA
近頃はテクノロジーが進化して、スマホをはじめ、小型、軽量かつ高性能なモバイル機器が世に溢れている。
ノートPCも例外ではなく、高性能化した上に昔より価格が下がってきている。令和の時代、処理速度が求められるDTM作業だって軽くこなしてくれるだろう…という予測があり、コスパの良いノートPCを探すことにしたのだ。
DTMに必要なスペック、前提条件
どんなものでも大抵そうだが、いくらでもお金を出せるのであれば、理想のものはすぐに手に入る。
しかし、多くの人はいくらでもお金を払えるわけではない。限られた予算で必要条件を満たすものを探さなくてはならない。筆者にしてもそうだし、これを読んでいるあなたもきっとそうだろう。
今回、DTM作業が外で快適に行えるスペックとして、経験的に下記を設定した。なお、Mac派の方には申し訳ないが、Macだと現行製品に限ればそれほど選べる機種がそもそもないと思うのでApple Storeで相談して頂いた方が早いという判断があり、Windows PCに限って検討していることをご了承願いたい。
ちなみに、Macならこのあたりのチョイスになるはず。
CPUは省電力タイプのi7もしくはi5がオススメ
CPUはPCの頭脳に相当するパーツで、処理速度に非常に影響する。
DTMで言えば再生中に音飛びしたり、エフェクトをかけると処理が遅くなってしまったりするのはCPUの速度が影響している。2Mixを書き出す時間もCPUの速度によって変わる。すべてがCPUだけで決まるわけではないが、基本的にCPUが高スペックなほど、瞬間的な高負荷に耐えることができてスムーズに作業できるのだ。
しかし、CPUがそれだけ重要なパーツということもあって、基本的にPCというのは搭載しているCPUの性能によってPC自体の値段が高くなったり安くなったりする。つまり、高性能なCPUを積んだPCは値段が高いのだ。
デスクトップPCの場合は自分で後からCPUを付け替えることが比較的簡単にできるが、ノートPCは後から付け替えることは無理。購入時に付いているCPUは、そのPCを手放す時までずっと使うことになる。そのため、後悔しないためにも、まずは基本的なCPU事情を把握することをオススメする。
デスクトップPC用ではインテル製だとCore i9やCore i7という名称のCPUが高性能でi5が次に高性能、i3、Pentium、Celeronの順に低性能となる。
同じ名称でも世代やクロック数などの違いがあり、2020年2月現在では第10世代が最新。基本的に世代が新しいほど同じクロック数であっても、より処理速度が速くて、消費電力が低くなっていたりする。また、アプリによっては新しい世代のCPUじゃないと起動できなかったり、正常動作しない場合があったりする。
CPUの型番については、デスクトップPC用は比較的わかりやすいが、ノートPC用のCPUは少々ややこしい。
常時コンセントに繋がっているデスクトップPCと違って、ノートPC用のCPUは性能と消費電力を両立させる必要がある。ノートPC用のCPUで、型番の最後に「U」がついたものなどは、高性能であるはずのi7でも省電力タイプなので性能は控え目。ノートPCでも電源に繋いで使用することが多いなら、性能重視のCPUにした方が良いので、このタイプは避けた方が賢いとも言えるが、外での作業が多くなるなら、省電力タイプの「U」の型番が付いたCPUを搭載した機種を選ぶのが良いだろう。
現実的なことを言うと、2020年現在においては省電力かつ高性能が完璧に両立したCPU、ノートPCというのは存在していない。どのみち妥協が必要になるのだ。お外でのDTM用ならば、なるだけ高性能のi7かi5で「U」の型番が付く省電力かつ比較的高性能なCPUがベストチョイスとなるだろう。
ちなみに、5万円前後の低価格ノートPCでは、Celeronという名称のCPUが採用されている場合があるが、実は中身が性能的に評判の悪かったATOM系列のCPUという場合がある。省電力を重視し過ぎているため、DTM用途では処理速度的にすぐに不満が出ることになるだろう。DTM用途ではCeleronというCPUを搭載している機種は避けた方が良い。ATOMは一昔前に流行ったネットブックや、タブレットPCに採用が多かったCPUで、基本的にはネット閲覧程度を想定したスペックしかない。
メインメモリ(RAM)は8GB以上は必要
高音質な有料音源を使う場合など、現代のDTM作業においてはメモリが多いに越したことはない。目安としては最低でも8GB、できれば16GB程度あれば良いだろう。
ノートPCはデスクトップPCと違って、メモリ増設の制約が大きい。薄型のモバイルノートPCでは、内部にアクセスできず、後からの増設が一切できない機種もある。
5万円前後の低価格モバイルノートでは4GB固定の場合がある。これだとOSとDAWを立ち上げた段階でメモリをほぼ全部使い切ってしてしまうので、思い通りに音楽制作はできないだろう。
OSはWindows10のほぼ一択
現行のWindowsノートPCだと、Windows10のほぼ一択である。32bit版はメモリが3GBまでしか使えないので、DTM作業用としては64bit版しか選択肢はない。HomeとProのエディションがあるが、どちらを選んでも一般的なDTM作業ではそれほど違いはないと思われる。
Pro版にしかない機能は、リモートデスクトップや暗号化機能のBitLocker、仮想環境のHYPER-V、Homeでは自動的に行われるWindows Updateを任意のタイミングで実行できることなどである。DTM作業では通常は影響しないので、Homeでも特別問題になることはない。
現行の主要DAWはWindows10に対応しているが、使いたいDAWが古めのバージョンだったり、使いたいプラグインなどが対応していない場合はWindows7など旧OSを探す必要がある。ただ、Windows7はOS自体のサポートが終了しているのでセキュリティ面など、すべて自己責任となる。
ストレージは内蔵SSDで240GB以上、ポータブルSSDもオススメ
今どきPCのシステムドライブはSSDが主流だ。HDDからSSDに替えると、ほんの数秒でOSが起動したり、大抵のソフトが一瞬~数秒で起動したりと、誰でも体感できるほどの違いがある。
最近のノートPCでは中古品や格安製品でない限り、SSDを搭載しているのが一般的だ。
自分で載せ替える場合はサイズに注意。デスクトップ用の3.5インチのものは搭載できないので、2.5インチを選ぶこと。SSDはサイズや規格が色々あるので、自分の機種にあっているものでないとならない。
DTM用のノートPCとしては、音源のインストールなどで数GBや数十GBの容量を一瞬で使うことがあるため、少なくとも240GB以上のSSDを搭載している機種がおすすめ。
内蔵SSDの容量が足りなくなったり、大容量の音源を持ち運んだりする場合は、ポータブルSSDがオススメ。HDDより軽くて速度が速いし衝撃にも強く、価格的にも買いやすくなった。
自作派ならSSD+HDDという構成もアリ
マウスコンピューター製だと機種によってはSSD+データ保存用のHDDという構成もできるので、そういった機種を選ぶのもおすすめ。
最近のノートPCでは光学ドライブが省略されていることが多く、スロット自体が存在しない場合がある。しかし、機種によっては光学ドライブ用のスロットがあったり、中古のノートPCでは光学ドライブが搭載されている場合がある。光学ドライブが不要な場合は、ここにHDD(SSD)用の変換マウンタをかまして、2台目のストレージ用ドライブを増設することも可能だ。
自作派だったり、すでに持っているノートPCを生かしたい場合にはこういうやり方もあるので一応紹介しておく。当然だが、こういった改造は自己責任での作業となる。
持ち運びが苦にならない目安は1.5Kg以下
ノートPC選びで重要なのは、重さを検討材料にしないとならないこと。どんなに性能が良くて使い勝手が良くても、重たかったら持ち運ぶ気にはならないだろう。
個人の感覚によるが、持ち運んで使う気になるのは概ね1.5Kg以下が目安になると思う。1.5Kgがどの程度かというと、スーパーなどに並んでいる1.5Lのペットボトルの重さだ。片手で持つと重たいと感じるはず。
1Kg以下だと片手で持っても軽いと感じるレベルだが、ラインナップが限られてくる。2020年現在だと1Kg以下のノートPCは種類が少なくて、NECや富士通、LGなどの大手メーカー製が主。処理性能よりも軽量をウリにしているシリーズで、クリエイター向けなどに特化したスペックではないが、予算が15万~25万くらいある場合は検討するとよいだろう。
1Kg~1.5Kg前後になると選択肢はグっと増える。この重さは13.3インチ型モニター搭載のB5サイズノートの主流で、各社ラインナップが充実している。ビジネス向けなどで会社で使っているようなノートPCも最近はこのへんが主流だ。
マウスコンピューターやLenovoなど、ネットでカスタマイズ注文できる、いわゆるBTOでも扱っている機種ラインナップが多い。
バッテリーはフル稼働で10時間が理想だが…
DTMはあれこれ試行錯誤するので、バッテリーで長時間動作することが必要。
気を付けないとならないのは、メーカーがカタログ表記しているバッテリーの持ち時間は、モニターを少し暗くしたり、消費電力が少なくなる状況で計測していることが多いということ。実際に重たい作業をしていると、メーカー表記が10時間だとしても5~7時間程度しか持たないことは普通である。
世界中のノートPCを調査したわけではないが、新品状態でもフル稼働で10時間使えるi7などの高性能CPUを積んだモバイルノートPCは、2020年現在においては、地球上にほとんど存在しないのではないかと思う。特別な大容量バッテリーが必要だったり、価格が非常に高かったり、少なくとも気軽に買える一般的なノートPCではないだろう。
現実的な解決法としては、それ以上の時間を一度も充電せずに外で使いたい場合は、バッテリーを交換できるタイプの機種にすること。ノートPC本体にバッテリーが内蔵されているものだと、バッテリーを交換して使い続けるというのができない。しかし、バッテリーが取り外せるタイプならバッテリーを交換することで、バッテリーの数だけ延々と使用することができる。
しかし、最近の主流は本体内蔵型で、交換できる機種はマウスコンピューター製の一部機種などになる印象がある。
その他の方法としては、汎用のモバイルバッテリーを使う方法がある。さらに最近だと、スマホ用などの一般的なモバイルバッテリーで充電できるノートPCも一部にあるので、そういったPCを選ぶ方法もあるだろう。
モニターは情報量の多いフルHD以上が理想
B5サイズの13.3型モニターだと4K、フルHD(1920×1080)のものと、低価格帯に1366×768の解像度のものがある。
解像度は高いに越したことはないが、2020年現在においてはフルHD(1920×1080)程度が一般的。DTM作業の場合は情報量が多い方がやりやすいので、少なくともフルHDを選んでおこう。
場合によっては、フルHDでなくとも1366×768程度の解像度でも実作業ではそれほど困らないこともあると思う。ただ、ノートPCの場合、後からモニターを変更することはできないので、よく検討すること。
音質は最終チェック用ではないので、そこまで気にしない
エンターテインメント用途的なノートPCだと、ある程度は雰囲気のある音質のステレオスピーカーが搭載されているが、ビジネス用のノートPCでは警告音向け程度に小さいモノラルスピーカーを付けて終わり、という場合もある。
外ではヘッドフォン、室内で使うにしても外付けのスピーカーに接続するのが一般的だろうから、ノートPCのスピーカーで最終的なチェックをすることはないと思うので、あまり気にしなくて良いと思う。たまに、ちょっと人前でサラっと再生したい…という場合は、それなりのスピーカーを内蔵している機種が良いだろう。
ヘッドフォン端子は一般的に装備されているし、USB接続でオーディオインターフェースを接続することもできる。普通にヘッドフォンを接続できればOK。
一体型タッチパッドは使い勝手が微妙?
常にマウスで操作するという人には関係ないかもしれないが、屋外では安定してマウスを使えることばかりとは限らないし、タッチパッドだけで行くという人もいるだろう。
Windows8が出たくらいの時期から、左クリック、右クリックのボタン部分が独立していない一体型タッチパッドが流行した。慣れるまでに時間がかかるというか、構造的に使いにくいので、2020年現在では国内メーカーを中心に独立型に回帰しつつある。
この部分だけはすべり具合なども含めて、実際に触ってみないとわからないので、不安な場合は店頭で触ってみるとよいだろう。ノートPCの宿命で、こういった部分だけを後から付け替えることはできないので、使いづらい場合はどうしようもなくなってしまう。
スベスベ過ぎる場合は、スマホ用の画面保護シートを張るなどして調整することもできる。メーカー公式の方法ではないので、試す場合は自己責任で行うことになる。
当サイトおすすめ! DTM向けノートPC3選!
ノートPCは割りと早いスパンで商品ラインナップが入れ替わるので、コスパ重視で選ぶなら、アウトレットなども含めて自分にあった機種を探す根性が必要。ここでは、独断と偏見でチョイスした製品を紹介する。
SIM対応でSSDとRAMに余裕あり(~10万円)
・メリット
SIM対応で屋外でもネットで情報収集しながら音楽制作ができる。SSD、RAMともに最低限以上のスペックがあり、価格も比較的手ごろ。メモリ増設できるのが嬉しい。
・デメリット
CPUが若干貧弱。エフェクトや音源の数を調整したり、作業内容の工夫が必要になるかもしれない。
許容範囲の重量かつ、グラボ搭載でハイスペック(~10万円)
・メリット
デザイン格好良く、平均スペック高めで、ノートPCでは珍しくグラボ搭載。画像、動画編集など幅広く活躍できる。
・デメリット
モバイルサイズに高性能を詰め込んでいる感があり、廃熱問題などのクチコミを見かける。
軽量&高性能モバイルノートPCの代表機種(15万円程度~)
・メリット
軽量を売りにしているシリーズで、モバイル向けPCとは思えないくらいの画面サイズやスペックで申し分ない。
・デメリット
15万円以上の予算がある人向け。
メモリ32GBモデルあり! クリエイター向けハイスペックノートPC(15万円~)
・メリット
クリエイター向けのシリーズで、画面サイズや最新CPU、大容量メモリ、グラボ搭載など一昔前のデスクトップPC以上のスペック。
・デメリット
スペックの割に軽いが、重量が1.6Kgと頻繁に持ち運びするなら少し重く感じるかも。
番外編 iPad Proという道も
Cubaseや初音ミクなどのボーカロイドも実はiPad版やiOS版というものが存在していたりする。
しかし、RAMなどのスペックを見ればわかるが、2019年現在のタブレットPC界で一番高性能なiPad Proにしても、10年前のノートPC程度のスペックしかない。
ボーカロイドも10年前のV2程度の機能しかなく、DAWもトラック数やエフェクトが非常に限定的で、PC並みに製作することはできないのである。ただ、バッテリーの持ち時間や携帯性はノートPC以上なので、サブ用として検討するのもアリかもしれないので、一応紹介しておく。