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【DTM】中低域の処理がポイント!! 初音ミク楽曲での初心者向けミキシング講座

【DTM】中低域の処理がポイント!! 初音ミク楽曲での初心者向けミキシング講座
写真はイメージ。DTMではDAW内のミキサーを使いこなそう!

今回はDTMの中でもボーカロイド、特に初音ミク楽曲のミキシングやマスタリングについての講義をする。

講義とは言っても、そんな大それたものではない。筆者はプロのエンジニアやプロのミュージシャンではないし、5年程度、後述するような書籍を参考にしつつ、あくまでも我流で100曲程度をミキシング~マスタリングしてきた経験から言えることをまとめてみる。

自分の知識や技術を棚卸しして、次のステップに進もうという企画だ。したがって、かなりプライベートなものだけど、DTM初心者の方やミクシング(ミキシング)を何から手をつけていいかわからないという方に、参考になればという思いで記述していきたい。

きっとミキシングに正解はない

5年くらいやってきて確信が持てるのは、作曲や編曲、または他のアート全般のようにミキシングには絶対の正解がないという事実。ミキシングはエンジニアリング的な側面がありつつも、かなりアート寄りの行為なのだ。

最初にお断りしたように筆者はプロのエンジニアではない。プロの現場では「ミキシングやマスタリングはエンジニアの仕事」と区別されているのかもしれない。だが、アマチュアが趣味レベルとして、自宅でミキシングやマスタリングをする場合に限定していうと、どちらもアート寄りの行為なのだ。

ミキシングには多少のセオリーはあるものの100%の正解はないのだ。短時間で終わる場合もあれば、延々と終わりが見えなかったり、作業終盤に差し掛かったように思えてもで、スタート地点に振り戻されてしまうこともあるだろう。それがミキシングなのだ。

きっとアマチュアには限界がある

ミキシングというのは再生環境を出来るだけ整えるところがスタート地点である。本人の耳や経験はもちろんのこと、スピーカーや部屋の環境、ヘッドフォンの音質によって、ミキシングの出来が左右されるからだ。

かいつまんで言うと、お金がかかるのである。ヘッドフォンくらいならまだしも、プロのミキシングスタジオ並みの音響設備が整った部屋を用意するのは、普通のアマチュアには無理がある。

アマチュアと言っても色々あるが、某有名ボカロのPの人も音楽雑誌のインタビューで言っていた。彼は作曲は自宅でやるにしても、ミキシングやマスタリングはスタジオでプロのエンジニアにやって貰うのだという。

このことが物語っているように、ミキシングやマスタリングというのは、作曲や編曲とは違って、環境の面の限界というものがアマチュアにはあるのだ。ちなみに、プロ向けのミキシングスタジオは、趣味レベルのアマチュアが簡単に借りられるような料金ではない。

空間再生の要、モニタースピーカーの必要性を考える

細かいノイズのチェックなど細部の確認はヘッドフォンの方がやりやすいが、まずはスピーカーでミキシングするのがセオリー。

スピーカーで空間を通して再生される自然の摂理に合った音と、耳元で再生されるヘッドフォンの音は、かなり性質が違う。経験的には、スピーカーで再生される音からミキシングを始めた方が手数が少なくて済む。

スピーカーは音楽制作用途に特化したモニタースピーカーを買おう。ミキシングに使うスピーカーは、あくまでフラットな音質のスピーカーであることが望ましい。

モニタースピーカーの例

細部のチェックにはヘッドフォンが必要

スピーカーでは大ボリュームに上げないと、細かなノイズや複数の楽器が被っている帯域の調整が難しいので、モニターヘッドフォンを別途用意しよう。

スピーカー段階である程度のミキシングは完了しているのが理想だが、ヘッドフォンを使ったミキシングには注意点がある。それなりの価格帯(1万円程度以上~)のヘッドフォンなら、音量を上げさえすれば、ショボいミックスや音作りであっても、なぜだか妙に格好良く聴こえてしまう場合があるからだ。

これは人間の聴覚の性質も関わるが、小さい音量と大きい音量では周波数の聞こえ方が異なる。なので、音量を変えてのチェックもしてみよう。大体のプロが作った曲は、音量をそんなに上げなくても、それなりに格好良く聴こえるはず。

スピーカーでの場合もそうだが、時々、理想とするプロが作った楽曲を同じボリュームで再生してみよう。こういった楽曲はリファレンス音源と呼ぶが、我流でミキシングを上達させる場合に役に立つ。リファレンス音源のチョイスも大事。ロック系の曲を作る時に、バラードをリファレンスにしてはいけない。

ヘッドフォンでの調整が済んだら、もう一度スピーカーでも聴いてみよう。さらに改良したい部分や問題点があれば、ヘッドフォン、スピーカー、ヘッドフォン・・・と、切り替えながら煮詰めていく。ヘッドフォンも、モノによって音質に違いがあるが、音楽プレーヤーやスマホで再生する時に使っているような小さいイヤフォンでも再生してみたりすると、ミックスの完成度がさらに高まる。

モニターヘッドフォンの例

初音ミクボイスのイコライジング(EQ)

初音ミクは基本的にはハスキーボイスの女性ボーカル。一般的な女性ボーカルに近いミキシング、音作りが基本方針となる。

初音ミクのソフトウェアを所持していない方には意外に思うかも知れないが、何もイコライジングなどのを加工していないミクボイスは、中低域成分もたっぷりあって、有名ボカロPが作った有名曲のようなキンキンボイスではないのだ。

ミクボイスでのEQカーブ例。何もしないと中低域成分が多い

人間の女性ボーカルの場合と同様、一般的なポップやロック系の楽曲の場合は、イコライザーで中低域を削ろう。ローカット系の処理である。音量のバラつきを整えるのにコンプレッサーを使用し、サ行などの発音が耳につく場合はディエッサーで処理をしよう。

楽曲にもよるが、ディエッサーでもどうにもならない場合もミクの場合は多いので、イコライザーで気になる周波数をピンポイントで調整する。

筆者の場合のエフェクト挿し方の例

上の画像は筆者のあるミク曲でのミクボイスパートのエフェクト例。上から順に、ディエッサー(強)、コンプレッサー、イコライザー(中低域削る)、エキサイター(高域強調)、ディエッサー(強)、ピンポンディレイ、トランジェントマスター(発声初期部分の調整用)、イコライザー(ピンポイント調整)をして、Sendでリバーブを軽く掛けている。

このあたりは人によるし、むしろプロの人はどうやっているのか知りたかったりもする。

伴奏のミキシング方針

伴奏のミキシングは書籍等で勉強して、場数を重ねて試行錯誤していくしかない。初音ミク楽曲の場合はミクの声がメインという基本方針があるはずなので、なるべくミクの声が生きるようなミキシングを目指すことになる。

ミクの声を伴奏に溶け込ます雰囲気の楽曲ならその限りではないが、ミクの声の帯域と被らないようなミキシングを目指そう。

これはミクボイスの加工にも関わってくる問題で、中低域をどういう風にどのくらい切るかによっても、曲全体の聴こえ方が変わってくる。ミクボイスを作る段階から、全体の方針を考えていった方がよい。

他の楽器パートにも同じことが言えるが、ミクボイス単体で聴いている時は良くても、伴奏と一緒に再生するとイマイチ・・・ということがある。全体との足し算の結果が大事なわけだ。単体で再生したり、全体で再生したり、スピーカーやヘッドフォンでのバランス調整を繰り返していくのが、ミキシングというアートワークなのだ。

思い切って低域はキック、ベースに任せる

個々のパートで再生する時は、それぞれの楽器に低域成分が含まれていた方がリアルに聴こえる。

しかし、伴奏全体として再生させた時には問題が生じる。それぞれの楽器が持つ低域が被さってごわごわした低域になってしまう。そのため、ミクボイスと似たように、思い切ってキックとベース以外は低域をカットしてしまおう。

オルガンパートのEQカーブ。あくまで伴奏の1つなので低域はリストラ!!

そのカットの加減はケースバイケース。技術の高い人は上手いこと低域を生かしたりもするが、初心者の場合は基本的にキックとベース以外の低域はカットの方向が良い結果を生む。オーバードライブ系のギターと、スネアドラムは楽曲全体の音作りによるのだが、低域をある程度残した方が格好良くなる場合が多い。

そもそもの音色選びが大事

筆者は何だかんだやっているうちに、自分でもそれぞれの特性がよくわからないような大量のエフェクト類が手元に揃ってしまった。

そのため、エフェクトを使った音作りに走ってしまう傾向がある。でも、エフェクトよりも大事なのは、大抵はそもそもの音色選びだ。打ち込みギターにおけるギターアンプエフェクトは例外だが、それ以外では音色選びが良くないとどうやっても良い感じにならない。

フェーダーワークやイコライザーで削って、リバーブやディレイなどを調整しても、元々の音色が良くない場合は改善しないことが多い。散々エフェクトを弄った挙句、結局、音色を選び直すことで、納得いく結果に辿りついた経験は数知れず。

人気の追加音源、プラグインパッケージ

マキシマイザーは良い薬にも悪い薬にもなる

ポップス系のジャンルならば、編曲やミキシングの段階から最終的な音圧を意識していくべきである。全体のミキシングが終わった時に、市販の楽曲に比べて音が小さいように感じる場合が多いと思うが、大抵のアマチュアが作った曲は一般的にはそうなるはず。

個々のパートのバランスを弄るミキシングの後にマスタリングという、楽曲のマスターチャンネルをいじっての最終調整をする。その段階で音圧を高めるマキシマイザーというエフェクトを使うことで、音圧を上げられる。

マキシマイザーはWaves社のL1、L2、L3といったプラグインが有名だが、DAWに付属している場合もある。コンプレッサーやリミッターでそれっぽい効果を出すこともできる。原理的には、それらのエフェクトと似通ったものだからだ。

ただ、救世主のように感じられるマキシマイザーにもデメリットがあることを知っておこう。ミキシングで細かく整えたはずのパート間のバランスが悪くなったり、空間表現が薄っぺらくなったりするのだ。

定番マキシマイザーの例

マキシマイザー&エフェクト多量で泥沼膠着状態に!!

マキシマイザーでガチガチに音圧を上げたうえ、各楽器パートにも多量のエフェクト類が入っている場合、どこかのパートに微妙な違和感を感じたとしても、もはや容易に調整できない場合がある。

よい子は真似しちゃいけない例 (マキシマイザー頼み)

マキシマイザーは機械的に音圧を上げるので、あとでどこかのパートを微妙に修正したとしても、思いも寄らない別のパートが浮き出てきたり、よくわからない周波数が強調されたりと、いじりにくい状態となってしまうのだ。

せいぜい、-3.0dBくらい掛ければちょうどいい音圧になるくらいに各パートを音作りしていくのが良いだろう。画像の例みたいに、-8.0dBくらいのを2本刺ししないと市販曲くらいの音圧にならないのは、きっとミキシングや音作りがダメダメなのだろう(悲)

マキシマイザーによる音圧稼ぎは、できるだけ程々にしておいた方が後々の調整が楽なのは間違いない。基本方針としては、ミキシングでできるだけ完成度の高い状態を目指すべきだ。

参考書籍、ミキシングで役立つ本

今回は、我流での経験(主に失敗談)から言える精神論を中心としたミキシング講座をお届けした。今後、より実践的に技術を高めたい場合は以下の書籍が役に立つだろう。

いずれも音楽関係を職業としているプロの方の本。理論的かつ体系的にミキシングやマスタリングを学び、自身の楽曲をレベルアップさせたいという方にお勧めする。

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