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【レビュー】ABILITY 3.0 Pro 国産DAWのフラッグシップ ~実践編~

【レビュー】ABILITY 3.0 Pro 国産DAWのフラッグシップ ~実践編~

株式会社インターネットが手がけている国産DAWのフラッグシップ「ABILITY 3.0 Pro」のレビュー第2弾は、付属する音源やプラグインを紹介したり、実際にミキシングや楽曲書き出しまでをやってみたい。

ABILITY 3.0 Proは最上位グレードということもあり、ABILITYの専用音源やプラグイン以外にも、社外製の統合音源やプラグインが付属している。下位グレードのSibger Song Writer Lite 9.5では、付属音源がシンプルな構成だったため、かなり個人的には気になる部分である。

なお、本体インストールまでを取り上げた「導入編」の記事はこちら。

以前、Singer Song Writer Lite 9.5という国産DAWを紹介したが、同じ株式会社インターネットが手がけている同系列のシリーズで、フラッグシップにあたる「ABILITY 3.0 Pro」を入手したのでレビューをお届けする。 【ポイント10倍!】インターネット ABILITY 3...

付属音源のインストールはじっくり取り組む必要あり

ABILITY 3.0 Proは社外製のプラグインやソフト音源がいくつか付属している。ABILITY 3.0 Pro内だけで使える専用の音源は、isoファイルを開いた時のインストール画面から簡単に導入できるが、社外製の音源は個別に各社のサイトにユーザー登録したり、専用のライセンス管理ソフトを設定したりしないとならない。

日本語で手順を説明したPDFが付属するものの、海外メーカーのサイトなので英語が基本。モノによってはそれなりに手間取る場合もあるかもしれない。休日など時間に余裕がある時に、じっくり取り組むつもりの方がストレスがないだろう。

筆者はCubaseやNative Instruments社のKompleteシリーズなどで、この手のプラグイン導入はそれなりに経験しているが、各社によって設定手順は様々。PC環境によっては、すんなりいかない場合も想定される。特に、初めてプラグイン的なものを導入する人は、腹を決めて(?)から作業を始めた方がよい。

導入の手順をざっくり言うと、各社のサイトにユーザー登録し、音源やプラグインのファイルをダウンロード~インストールする。それぞれに必要なライセンス管理ソフトがあるため、こちらもインストールする。そして、ライセンス管理ソフトにシリアル番号やライセンスコード的なものを入力すると認証が完了する。

モノによっては、さらにABILITY側から音源やプラグインをインストールしたフォルダを設定することも必要。ここまでの手順が完璧になった時に、はじめて使えるようになる。

もっとも、これはDAWでプラグイン的なものを導入する時の一般的な手順ではある。しかし、PC操作に不慣れだったりするとストレスが溜まる場合もあるだろう。プラグインにも何種類か規格があるが、ABILITYやCubase、Studio OneなどWindowsで主流なDAWの場合は、音源ではVSTi、エフェクトなどのプラグインはVSTという規格が一般的に使われる。32bit版と64bit版が用意されている場合もあるが、VST規格の本家であるCubaseにしても、今は64bit版のプラグインしか対応していないので、特別な理由がなければ64bit版だけをインストールすればよい。

ABILITY 3.0 Pro最大(?)の難点

上記は割とオブラートに包んだ表現をしたのだが、実際どうなのか? というと、競合DAWと比較した時にABILITY 3.0 Pro最大のデメリットなのがインストール作業だ。筆者は平日の夜に少しずつ作業したのだが、結局、全部の機能をインストールするのに、なんと7日間もかかってしまった。DTM系の某有名サイトの記事では広告的な性質なのか、何も言及されていなかったが、インストール作業は複雑で大変時間がかかる。しかも、デモ曲のプロジェクトファイルを再生しようとしたら、「音源が見つかりません」的な英語のエラーが表示されたので、デフォルト設定のままインストールしてはダメなようであった。

統合音源 SampleTank 4 SEについて

社外製の付属音源でまず紹介したいのはこれ。

この界隈では有名な海外メーカーIK Multimedia社のSampleTank 4 SEという、ガチなサンプリング系の統合音源が付属してくる。これは容量が全部で30GBほどあり、ダウンロードにはそれなりの時間がかかる。ゆっくりお風呂に入ってる時にやっても終わらない場合もあるので、就寝時などに行った方が良い。

Cubaseなど他社DAWでも使えるガチ音源が付属!! (画像はCubaseに読み込んだ例)

SampleTank 4 SEは個別に買うと記事執筆時で17,990円(税込)もするガチな音源。

しかも、ABILITY専用バージョンなどではなくて、単品で売られているものと全く同じ(たぶん)ものなため、CubaseやStudio Oneなど他社製DAWから普通に使うことが可能。これはインターネット社の公式サイトでも言及されているので裏技でも何でもないが、クロスアップグレード購入して他社のDAWも使い続けたい人や、大体の打ち込みDTMerにとっては、かなり嬉しいポイントではないだろうか。

Singer Song Writer Lite 9.5の時は、付属音源の音質や種類のシンプルさに物足りなさを感じたものだが、SampleTank 4 SEは30GBもの大容量を誇る。当面はこの音源をいじって音を出しているだけでも、下手なスマホゲームとかよりも楽しめるのではないだろうか。

なお、こうした大容量の音源はHDDにインストールするよりも高速なSSDを利用した方が実制作の時に快適になる。できるだけSSDへのインストールをオススメしたい。HDDでも使えないわけではないが、制作時のストレス低減が期待できる。

お得過ぎる(!?)クロスアップグレード版について

クロスアップグレード版は他社製DAWなどDTM系のソフトを持っていれば、実売3万円程度(記事執筆時点)で購入することができる。結構マイナーなソフトも対象なので、気になる人は同社サイトで確認してみよう。

ABILITY 3.0 Proは下で紹介する市販品と同じドラム音源のほか、やはり市販品と同等のガチなピアノ音源とギターアンプ系プラグインも付属している。なんと、これらの付属音源とプラグインだけでABILITY 3.0 Pro自体の値段を完全に上回る(!?)という、お得な価格設定なのだ。

SampleTank 4 SEの動作は若干不安定

Cubase Proの場合、ABILITY ProにおけるSampleTankのポジションに近い音源と言えば、HALion Sonic SEになるだろう。

HALion Sonic SEの例 (画面はCubase)

HALion Sonic SEはCubaseでのデフォルト音源で、Cubaseと共にインストールされる。Cubaseユーザーならば、強制的にHALion Sonicユーザーでもあると言える。

この音源はGM音源にあるようなベーシックな楽器の音は網羅されていて、Cubase Elements以上のグレードなら数百種類以上の音色が使えるサンプリング系統合音源である。ヤマハのシンセサイザー系のサウンド傾向で、クリアーかつ、ほどほどの深みがあり、Jポップやロック系の曲を作ったり、エフェクトでいじったりするベースの音色として、個人的にはかなり使いやすい音源である。アマチュアでもプロ並みのサウンドクオリティーを要求されがちな、昨今の厳しいDTM界隈でも戦っていける基準をクリアーしている音源なのだ。

そしてなにより、もはやCubaseと統合されているレベルの音源なので、別途設定が必要ないし、動作の安定性が抜群。しかも軽い。Cubaseを5年くらい使っているが、HALion Sonic SEが原因で動作が不安定になったり、トラブルを起こしたことが一度も無い。任せて安心のセーフティドライバー、ゴールド免許的な音源なのである。

それに比べると、ABILITY Proにおける有望音源のSampleTankは、少し冷や冷やする所がある。別途インストールする必要があるし、実際に使えるようにするまで時間や神経を使わなければならない。筆者の場合もCubaseではうまく読み込めるのに、なぜか付属音源のはずのABILITYでは、むしろサクっと読み込めなかったりと時間を費やしてしまった。色々いじっているうちに改善されたものの、サクッと設定できるかどうかは大事な気がする。

ようやくABILITYからSampleTankを鳴らせるようになって嬉しい瞬間の図

DTMをやる時間が限られている趣味のアマチュアDTMerこそ、実際の制作などクリエイティブに時間を使いたいだけに、設定で手間取るのは避けたいと考えるのが自然だろう。前言撤回になるが、ABILITY専用として統合されてしまってもいいので、このあたりはシンプルにインストールできる仕組みの方が良かったのではないだろうか。

ABILITYの操作や設定を熟知していないからというのもあるが、SampleTankの音色指定はABILITYのUI上からは出来なくて(?)、別途SampleTankの画面を立ち上げないとならないようである。ABILITYでのメイン音源になりそうな有望音源ではあるものの、徹底的に最適化されているわけではないように感じた。また、ABILITYからSampleTankを読み込んだ時に一度フリーズしたことがあった。動作の不安定さは実制作で支障が出る部分であり、この部分は改良を期待したい。

単品販売の参考製品 SampleTank

生音系ドラム音源のBFD Eco

続いて紹介するのは、付属する社外製のドラム音源、BFD Ecoである。これは単品で買うと記事執筆時で13,200円(税別)する製品で、ガチな音源と言って良いだろう。

イギリスのFXpansionというメーカーが出している音源で、サウンドの傾向としては日本のポップスというよりは、洋楽的なドラムの音と言えるかもしれない。BFDシリーズにもグレードがあり、最上位のものだと155GBもの容量があるらしいが、ABILITY Proに付属するのはサウンドや設定項目が簡略化された下位グレードなので、そこまでの容量はない。確か、ダウンロードした圧縮ファイルの状態で1GBくらいだった気がする。逆に155GBの音源をインストールするのは抵抗があるので、個人的にはこれで十分。

なんとかインストールして読み込みできたBFD Ecoの画面

インストールまでの道のりは、例によってアカウントを作成したり認証作業が必要になる。FXpansion社のサイトは英語なので、インストールマニュアルをよく読みながら、手順通りに必要なファイルを組み込んでいかないと使えるようにはならない。最初、なんとなく勘でインストールしたが、本体と音色ライブラリーは別ファイル(?)のようで、マニュアル読まない派の人は、逆に時間を無駄にすることになる。直感派の人でも、これに関してはマニュアルを3回くらい熟読してから行った方が良いだろう。

BFDシリーズは音がリアルなことで定評があるドラム音源だ。作り込み次第で生ドラムに迫るサウンドを作ることができる。BFD Ecoは設定項目が簡略化されているぶん、使いやすいというポジティブな言い方もできるだろう。

ドラム音源は曲調やミックス次第なところもあるが、サウンドの傾向は派手でわかりやすい感じ。個人的にはNative InstrumentsのStudio Drummerとかの生ドラム系の音源より、使いやすそうな印象である。ドラム音源自体にコンプレッサーなど音作りの機能が内蔵されていて、むしろDrum Labとかに近いのかもしれない。

単品販売の参考製品 BFD Eco

初音ミク~Piapro Studioとの相性

ここまではABILITY Proに付属する音源の中でも、個人的に注目度の高かった2つの音源について取り上げた。

しかし、当サイトはメインテーマが初音ミクということもあり、次は初音ミクとの相性について言及したい。

一応おさらいしておくと、初音ミクというのはソフト音源の一種で、DAWからはVSTiのプラグインとして動作させるのが基本。そのためのソフトが初音ミク本体に付属するPiapro Studioである。

初音ミク自体にStudio Oneの初音ミクバージョンのDAWが付属するし、Cubaseにはボーカロイドエディターというボカロ楽曲制作に特化したプラグインソフトが存在することもあり、初音ミクユーザーはStudio OneかCubaseを使っている人が必然的に多いはず。

しかし、Studio OneやCubase寄りの初音ミクではあるものの、Piapro Studioを使えばVSTiの読み込みに対応したDAWであれば、大抵のDAWで使うことができる。安定性や使いやすいかどうかはやってみなければわからないが…。

ABILITYで初音ミク(Piapro Studio)を動作させた例

ABILITYでも他のソフト音源を読み込むのと同じような操作でPiapro Studioを動作させることが可能。一般的なソフト音源との違いとしては、初音ミクは歌詞を入力するという特性があるため、ABILITY側ではMIDIトラックだけを作成し、トラックをPiapro Studioに割り当てたら、そのあとのボーカルパート制作はPiapro Studio上で行うこととなる。音が出ない場合はチャンネル設定などを確認すると良い。

ミックス~マスタリング、楽曲書き出し

さて、プラグインなど断片的な部分を紹介してきたが、最後は初音ミクを使った楽曲をミキシング~マスタリングし、曲として完成させる所までをレビューしてみたい。DAWとは一曲仕上げられてナンボなのである。

課題曲として、2016年に制作したオリジナル曲「湖底に眠らるる」のMIDIデータを利用する。

原曲はCubase ElementsというCubaseの入門グレードと、一部にフリーのソフト音源を使って制作しているが、今回はテスト的にABILITY Pro 3.0を使って、初音ミク以外は同ソフトに付属する音源やプラグインのみでサウンドを書き出す所までやってみたい。

土日など限られた時間でDTMするアマチュアDTMerにとっては、いや、きっとプロのミュージシャンであっても、なるべく短時間で結果をアウトプットできることは大事なはず。そのため、少ない学習コストと、短い作業時間でどこまでできるのか?というテストでもある。

Cubaseで作った曲を読み込んでMIXに挑戦!!

まず、超が付くほどの大前提として言えるのは、主観的にCubaseからABILITYの場合に限って言うと、共通の操作というのは想像よりもずっと少ない。つまり、Cubaseで当たり前にやっていることが「ABILITYでは・・・? えーと・・・」と、遠くを見てしまうことがかなりあった。

それもそのはずで、Cubaseの基本操作を覚えた時はマニュアルや参考書はもちろんのこと、ネットのレクチャーサイトなどを見て、その都度、レベルアップしてきたのだから無理はない。例えば、生粋のWindowsユーザーがMacをたまに使ったりする感覚に似ている。普段やらないことをするとスムーズにできないという、日常生活でもありがちな不便が最初は付き纏う。

楽曲の制作スタイルは人によって様々だと言えるが、VSTi、つまりソフト音源の扱いに関しては、意外とCubaseとABILITYは異なる。筆者がCubaseでミキシングや音作りをする場合、ミキサー画面ではなくて、メイン画面の左側を使って行う場合が多い。その方が「今、どのパートのどの音に対して音作りをしているのか」がわかりやすいからそうしているのだが、同じことをABILITYでやろうと試みたものの、仕様的にそれはできないようだった。

ABILITYの場合、VSTiのソフト音源もMIDIトラックをトリガーとして鳴らす仕様(たぶん)のようで、Cubaseと似たことをやろうとした場合、メイン画面の下の方に出てくる音源ごとのOutputチャンネルまでスクロールする必要がある。画面のスクロールなど基本的な操作体系も異なるので、クロスグレード等で導入する場合は、相応の学習期間が必要だろう。

まとめ ABILITY Pro 3.0のポイント

導入編と今回の実践編の2回に渡ってABILITY Pro 3.0を紹介した。結論的に言うと、やはり短い学習期間と短い作業時間では、使い慣れたCubaseと同等レベルのクオリティで楽曲をアウトプットすることはできなかった。

しかし、今回のレビューで感じたことや、紹介しきれなかった機能をまとめると以下のようになるだろう。

良いと感じた部分

・主要海外DAWのような現代的なインターフェース
・Proの称号に恥じない無制限のトラック数や拡張性
・それだけで元が取れる(!?)豪華な市販品の音源&プラグインが付属
・DTM初心者をサポートする伴奏作成機能などの搭載
・Singer Song Writerシリーズとの互換性
・Singer Song Writerシリーズ経験者なら操作にとっつきやすい

改善を期待したい部分

・一部プラグインとの相性や動作の不安定さ
・他社DAWと比べて、手順が複雑な付属音源のインストール
・最終セクションで言及したミキサーなど音作りに関する部分(制作スタイルによる)

総評

DAWというのは嗜好品というか、好みも関わるソフトなので、万人向けというのはないと思うが、全体としてはProの称号に恥じない高機能DAWとして仕上がっていると思う。改善を望みたい部分はあるものの、ABILITY Pro 3.0は主要海外DAWの良いところを取り入れ、過去のSinger Song Writerシリーズを現代的に進化させた国産DAWと言えるだろう。

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