ボーカロイドのソフトウェアとして代表格とも言える「初音ミク」の最新バージョンである「初音ミク NT」が2020年11月27日にリリースされた。Windows、Macに対応し、パッケージ版とダウンロード版が販売されている。
「初音ミク NT」は現在も販売されている「初音ミクV4X」の後継にあたる製品。これまでのバージョンはヤマハが開発した「VOCALOID(ボーカロイド)」という技術を使用していたが、エンジンを内製化し、歌声をコントロールするパラメーターなどの機能が刷新されたことが特徴と言える。簡単操作で高品位な歌声が実現可能とされている。
Piapro Studioが刷新、新しい入力方法に対応
「初音ミクV3」→「初音ミクV4X」のバージョンアップでは、全体的に歌声の明瞭さが増したというのが個人的な感想だった。その上で、吐息の表現や声のニュアンスを調整する機能がプラスされた。あくまでV3をベースとして、新機能をいくつか追加したというバージョンアップであったように思う。
今回リリースされた「初音ミク NT」では、付属するエディターであるPiapro Studioが刷新され、NTでの新しい入力方法に対応している。ピッチカーブを鉛筆ツールで描画したり、声の震え成分をいじったり、声のハリ具合をいじったりするパラメータが搭載されている。
V3やV4Xにも様々なパラメーターが搭載されているが、どのパラメーターがどんな効果を生むのかわかりづらい場合もあり、試行錯誤を繰り返さないと狙った効果が得られないことも少なくなかった。「初音ミク NT」では基本的なパラメーターも含めて、より簡単に狙った歌声を出せるように入力方法が刷新されたと考えてよいだろう。
過去製品との互換性について
機能面を大きく刷新した「初音ミク NT」は、V3やV4Xなど過去製品との互換性はない。
これまでのバージョンはヤマハが開発した「VOCALOID(ボーカロイド)」という歌声合成技術を使っていたが、「初音ミク NT」は独自開発の技術を使用しているのが要因。
そのため、「初音ミク NT」のライブラリーを過去のPiapro Studioで使ったり、「初音ミク NT」に付属するPiapro Studio NTで過去の「VOCALOID」のライブラリーを使うことはできない。
現時点では提供されない機能もあり
記事執筆時点では、当初予定していた機能のすべてが利用できないなど「初音ミク NT」の購入に関しては注意点もある。
本来は「Original+」「Whisper+」「Dark+」の3種類のボイスライブラリーを搭載される予定だったが、リリース時点では「Original+」1種類のボイスライブラリーのみ搭載される。後日のアップデートで残りのライブラリーが提供されるとのこと。
新機能の表現スタイルに関しても「デフォルト」と「アクティブ」の2種類のみ搭載でリリースされる。こちらも後日のアップデートで追加される見込みとなっている。
過去バージョンユーザーは優待販売もあり
「VOCALOID2 初音ミク」「初音ミク V3」「初音ミク V4X」など、過去の初音ミクを持っている場合は、優待販売で店頭などより安く買える場合がある。
優待販売や機能などのより詳しい情報は下記公式サイトにて。