Cubase Proをはじめ、おそらく上位グレードに位置するDAWにはPan Law(パンロウ)という、パンニングにおけるセンターと左右の音量差を設定する機能がある。
便宜的に手元にあるCubase Pro 10を使って説明するが、Pan Lawの考え方はDAW全体として共通であり、DAWによりデフォルトの設定が異なる。つまり、Pan Lawの何たるかを知っていないと、異なるDAWにデータを渡したりすると、音の出方が変わってしまう可能性がある。
Pan Lawの原理、理屈
ubaseのヘルプを引用すると『チャンネルを左右にパンニングした場合、左右の合計音量は、チャンネルをセンターに配置したときよりも大きくなります』とある。
これはどういうことかと言うと、あるステレオトラックのパンニングにおいて、左に振り切れば左のスピーカーからのみ音が出て、右に振り切れば右のスピーカーからのみ音が出る。ミキシングや音楽制作をやったことがあれば、これは簡単にイメージできるはず。
では、センターに定位した場合はどうか?
左のスピーカーと右のスピーカーから音が出るので、左右にふった時よりも聴感上の音量が大きく聴こえる。それを補正するのがPan Lawという機能なのだ。
Cubase Pro 10でのPan Law設定方法
メニューの「プロジェクト」から「プロジェクト設定」を開く。
「パンニングのレベル補正」という項目がPan Lawである。
デフォルトでは「均等パワー」になっており、どの定位(パン)であっても均等に聴こえるような設定になっている。DAWによって、この呼び名は様々なので注意が必要。
定位によるセンターや左右の聴こえ方を調整するには、「-3dB」「-4.5dB」「-6dB」などの値にして聴き比べてみると良いだろう。
センターに音が集中して聴こえる曲の場合は、Pan Lawの設定を変えることで左右に音が広がったような印象にしたりも出来る場合があるので、他のDAWと揃えるという目的以外にも、楽曲のイメージに合わせて調整するという使い方もあるだろう。